ビタミンC美容液について

今最も注目されている美容成分のひとつ、「ビタミンC」について、美容液を中心にその効果を検証していきます。

 

ビタミンCの持つ力って?

お勉強

 

<発見の歴史>

 ビタミンCは人体に欠かせない栄養素のひとつですが、体内で作ることはできないため、食事などで補給する必要があります。

 

不足するとさまざまな体の不調が起こり、最後には死に至ることさえあります。欠乏した場合の症状としては、皮膚の感想や脱力感、うつ状態、あざや毛穴からの出血など。症状が進むと歯ぐきや粘膜、消化管をはじめ、体の至るところから出血します。これが「壊血病」と呼ばれるものです。

 

歴史的にこの病気が大きく取り上げられているのは、15世紀以降の大航海時代に遠洋航海に出た船乗りたち。
あの、ヴァスコ・ダ・ガマの航海では、半数以上の船員が壊血病の症状で命を落としたとの記録が残っています。

 

 

 18世紀中ごろ、イギリス海軍の船医、ジェイムズ・リンドは、この病気の治療にはオレンジ、レモンが有効であることを発見しました。

 

そしてようやく20世紀になって、ノルウェーの科学者、アクセル・ホルストとイギリスのドラモンドによって、壊血病を防ぐ栄養素としてのビタミンCが発見されたのです。
その後も多くの学者が研究を重ね、ビタミンCの化学合成が可能になりました。





<ビタミンCのパワー>

 ビタミンCの特徴は、酸化した物質を元の状態に戻す強い還元力で、強力な抗酸化物質と言えます。

 

また、体内では皮膚や骨に多く存在するコラーゲン繊維を作るために働き、脂質の代謝にも作用します。
消化器官での鉄の吸収を促進・再生するなど多くの働きがあり、近年はがんの治療にも使われるなど、人の健康を保つために欠かせない栄養素です。

 

 

女性

美容面で最も大きいのは、皮膚への作用でしょう。皮膚は体表面を覆い、外界との壁となって異物や病原菌の侵入を防いでいます。

 

また、体内の老廃物を排泄し、有益な成分を吸収します。皮膚の基底細胞層にはメラノサイトがあり、ここで作られるメラニンが、シミやそばかすの原因となります。
ビタミンCは強力な還元作用で、このメラニンの生成を抑制するよう働くのです。さらに、コラーゲン繊維の三重らせん構造を構築する際にも、重要な働きを担っています。

 

<ビタミンCの問題点>

 ビタミンCは体内に取り入れても全身の各器官で消費されてしまい、皮膚に効果を発揮できる量を届けることは、非常に困難です。

 

しかも代謝が早いため、体内で濃度を保つためには、常に補給し続ける必要があります。

 

そのため皮膚から直接取り入れようと試みられたのですが、そのままでは表皮から下に吸収されませんでした。
そこで開発されたのが、皮下にも吸収できる「ビタミンC誘導体」。

 

現在多くの美白化粧品には、このビタミンC誘導体が配合されています。

 

ビタミンC美容液の効果記事一覧

 

ビタミンCは、どのように化粧品に取り入れられるようになったのか、その歴史と効果について見てみましょう。<ビタミンC化粧品ブームのきっかけ> ビタミンCの持つ抗酸化作用やコラーゲン生産を促す作用が着目され、80年代には日本でも注目が集まるようになりました。同じ頃、紫外線が与える悪影響がさかんに取り上げられるようになり、大手化粧品会社からは、ビタミンC配合の化粧品が次々と発表されるようになります。感覚...

 
 

不安定な分子を安定させるために開発された「ビタミンC誘導体」。その原理を見ていきましょう。<ビタミン誘導体の原理> 美白化粧品に必ずといってよいほど含まれている「ビタミンC誘導体」は別名「プロビタミンC」とも呼ばれ、そのままでは不安定なビタミンCの分子を安定させるために開発されました。原理としてはまずビタミンCの分子を小さく分けて、それぞれの分子を別の物質と結合させて安定した物質に変えます。ベース...

 
 

【水溶性ビタミンC誘導体】●リン酸アスコルビルマグネシウム 皮膚からの吸収がよく、酵素によりビタミンCとリン酸マグネシウムに分解される。皮膚科医で多く使われ、臨床例も多く、定番のビタミンC誘導体の定番であり最も効果があるとされる。美容液に配合されることが多い。紫外線にさらされると酸化力は徐々になくなるため、保存に注意が必要で、高濃度タイプは開封後冷蔵庫のドアポケットや野菜室などで保存が必要。●リン...

 
 

<化粧品製造上の問題点> 化粧品の有効成分はビタミンC以外にもたくさんあり、これらを複数ブレンドしてより効果を上げるよう設計されています。元々分子が不安定なビタミンCを安定させるために、分子を分けてさまざまな物質と組み合わせたビタミンC誘導体は、それだけ見れば他の物質によって左右されないという課題をクリアしています。 しかし化粧品は、人によって気温の高低や使用期間の長さなど、さまざまな状況の中で使...

 
 

<発想の転換により生まれた『新・ビタミンC美容液』> ビタミンCの分子そのままでは肌のバリアに阻まれて浸透することはできない、しかも分子そのものが不安定で、浸透する前に効力が失われていく。だから分子を分けて肌に浸透させ、内部で再度ビタミンCをつくり、美肌効果を発揮させる−これが今までの流れであり、ビタミンC誘導体が研究されてきた背景でした。 しかし前項に挙げたように、ビタミンC誘導体ではどうしても...

 
 

ビタミンCがダイレクトに皮下に吸収される新ビタミンC美容液は、ビタミンCの効果イコール肌への効果と考えられます。ビタミンCの効果細胞の老化抑制(アンチエイジング)効果 老化の最大の原因は、紫外線などにより発生する活性酸素(フリーラジカル)。ビタミンCの抗酸化力は活性酸素を除去し、肌の老化を遅らせます。シミ・くすみの予防改善効果 メラニン色素の還元によりシミを薄くし、メラニンの生成を阻害する作用があ...

 
 

濃度について水を溶媒としていた今までの美容液では、ビタミンCの含有率は最高濃度で20%まででしたが、このパーセンテージは配合率であり、今まで述べてきたように効果とイコールではありませんでした。しかし、ピュアビタミンCの場合、浸透率が高く、肌の中で再結合する確率を考えなくてもよいため、5%より10%、15%と効果がそのまま数字になって表れると考えてよいでしょう。今までは17〜18%というのが最高濃度...